2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『粒来哲蔵詩集』、『諏訪優詩集』

粒来哲蔵詩集 (現代詩文庫 第 1期72) 作者: 粒来哲蔵 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1978/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 散文詩の人。晦渋な筆致で別世界の様子を描き、それはカフカ風であったりエッシャーの騙し絵風であったり、ある…

『中村稔詩集』

中村稔詩集 (現代詩文庫 第 1期71) 作者: 中村稔 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1977/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ソネットを多用して風物に心象を見出すことから、ささやかに高踏的で典雅な印象がある。自分がはじめてこの詩人を知…

『宗左近詩集』

宗左近詩集 (現代詩文庫 第 1期70) 作者: 宗左近 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1977/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『炎える母』は戦時の空襲体験をもとにした極限的な作品。炎の中で見捨ててしまった母への鎮魂と自責の念が、陶酔的…

『山本道子詩集』、斉藤洋『うらからいらっしゃい』

山本道子詩集 (現代詩文庫 第 1期69) 作者: 山本道子 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1976/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 初期は自意識の檻の中で奔放な感受性に振り回され、詩は悲嘆の色に染まるとともにそれを受け入れて、次いで散文…

『清水哲男詩集』

清水哲男詩集 (現代詩文庫 第 1期68) 作者: 清水哲男 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1976/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 出発を高らかに歌うような態度ではなくて、年をとることを自ら望むようなひねくれた態度…と読み進めてい…

『粕谷栄市詩集』

粕谷栄市詩集 (現代詩文庫 第) 作者: 粕谷栄市 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1976/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 前に雑誌「詩学」で初めて触れてから折々読んでいたのだけど、ようやくまとまった形で読むことができた。現実では生活…

目黒区美術館『線の迷宮II-鉛筆と黒鉛の旋律』、ジュール・ヴェルヌ『』

目黒区美術館『線の迷宮II-鉛筆と黒鉛の旋律』 2007年の展覧会図録。鉛筆、シャープペンシル、消しゴムという極めてシンプルな画材を用いる9人の作家が紹介されている。中でも感銘を受けたのは小川百合と篠田教夫の画で、小川は画面の隅が暗くぼやけた中に…

『吉行理恵詩集』、『啄木のうた』

吉行理恵詩集 (現代詩文庫 第 1期65) 作者: 吉行理恵 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1975/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 「国防色の籠の中で/赤ん坊猫のお腹から はらわたがとび出しています」(「圧死」) 静かな狂いを感じさ…

岡田刀水士『灰白の蛍』、『新川和江詩集』

岡田刀水士『灰白の蛍』 岡田刀水士の遺作。前詩集『幻影哀歌』で到達した幻影の領域をさらに推し進めた詩世界を展開している。ここに描かれているのは死後のもしくは未生の世界であって、現実と同じような論理はほとんど通用せず、叙述は混迷に混迷を極める…

『辻井喬詩集』

辻井喬詩集 (現代詩文庫 第 1期63) 作者: 辻井喬 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1975/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 流竄者を思わせる孤立の場所から書かれる詩は、観念的な色を帯びながらもたしかな歩みを見せる。具体性を欠いてはい…

みやま文庫『群馬の昭和の詩人』、岩佐なを『霊岸』

みやま文庫『群馬の昭和の詩人―人と作品―』 5人の詩人を紹介している。中でも岡田刀水士の人と作品についてを集中的に読んだ。萩原朔太郎に師事し、群馬県内の学校や国鉄に勤めながら同人誌等で活動。この本では詩集『幻影哀歌』を、抵抗意識によって幻影の…

澁澤龍彦『ねむり姫』、『窪田般弥詩集』

ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫 作者: 澁澤龍彦 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 1998/04 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 24回 この商品を含むブログ (30件) を見る いつものエッセイ調をさらに丁寧にしたような文体で、物語っている対…

『北村太郎詩集』、岡田刀水士『谷間』

北村太郎詩集 (現代詩文庫 第 1期61) 作者: 北村太郎 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1975/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「なぜ人類のために、/なぜ人類の惨めさと卑しさのために、/私は貧しい部屋に閉じこもっていられないのか。」…

『井上光晴詩集』、『会田綱雄詩集』

井上光晴詩集 (現代詩文庫) 作者: 井上光晴 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1975/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「同志よ」なんて呼びかける左翼詩には最初怯んだが、左翼詩人によくあるように主題が村落や炭鉱といった下層社会に向かう…

『藤富保男詩集』、『岩成達也詩集』

藤富保男詩集 (現代詩文庫) 作者: 藤富保男 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1999/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 「蜜柑色の灯台に/翼に雲をはさんだ二枚のかもめ/なんだかとても どうでもいい/と思う」(「蜜」) 言葉から言…

秋元炯『血まみれの男』、嶋岡晨『詩とは何か』

詩集 血まみれの男 作者: 秋元炯 出版社/メーカー: 土曜美術社出版販売 発売日: 2000/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 少し血なまぐさいショートショート集といった感じで読み進めてしまった。狭い枠から溢れ出て夢の領域にまで広がった身体…

『ノディエ幻想短篇集』、『コクトー詩集』

ノディエ幻想短篇集 (岩波文庫) 作者: シャルルノディエ,篠田知和基 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1990/03/16 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (11件) を見る 伝承文芸の流れを汲みつつそれを夢と狂気で押し拡げてロマン…

東雅夫『百物語の百怪』、澁澤龍彦『犬狼都市』

百物語の百怪-ホラーJ叢書 (ホラージャパネスク叢書) 作者: 東雅夫 出版社/メーカー: 同朋舎 発売日: 2001/07/19 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (5件) を見る 古今の百物語に関する情報をまとめた一冊。記され描かれたものから、怪談…

入沢康夫『詩の構造についての覚え書』、W.G.ゼーバルト『鄙の宿』

詩の構造についての覚え書―ぼくの<詩作品入門> (1968年) 作者: 入沢康夫 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1968 メディア: ? この商品を含むブログ (1件) を見る 詩人と発話者(詩の語り手)は峻別されなければならないというのがこの論の肝で、今詩を書いて…

『奇想遺産』

奇想遺産―世界のふしぎ建築物語 作者: 鈴木博之,藤森照信,隈研吾,松葉一清,山盛英司 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2007/09/25 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 56回 この商品を含むブログ (32件) を見る シュヴァルの理想宮のように一目で「奇想」…

『吉原幸子詩集』

吉原幸子詩集 (現代詩文庫 第 1期56) 作者: 吉原幸子 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1973/09 メディア: 単行本 購入: 1人 この商品を含むブログ (2件) を見る 「わたしが みえなくなり/音だけになり/いのちと 死とが つり合ふとき/わたしは はじまる」…

『アール・デコの館』、『神秘の詩の世界―多田不二詩文集』

アール・デコの館―旧朝香宮邸 (ちくま文庫) 作者: 藤森照信,増田彰久 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1993/04 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (9件) を見る 現在は東京都庭園美術館となっている旧朝香宮邸について、邸が…

『清水昶詩集』、『金井美恵子詩集』

清水昶詩集 (現代詩文庫 第 1期54) 作者: 清水昶 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1973/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 不条理で戦闘的な言葉の向こうに見えるのは若いというだけでは片付けられないほどに真っ直ぐな熱情で、60年代の終わ…

松葉一清『帝都復興せり!』、小池昌代,塚本由晴『建築と言葉』

帝都復興せり!―「建築の東京」を歩く1986‐1997 (朝日文庫) 作者: 松葉一清 出版社/メーカー: 朝日新聞社 発売日: 1997/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 昭和10年刊行の写真集『建築の東京』に収められた建築を踏査して東京の原点を探る…