2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『入沢康夫詩集』

入沢康夫詩集 (現代詩文庫 第 1期31) 作者: 入沢康夫 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1970/03 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (2件) を見る 言葉はどこまでも言葉でしかなく、言葉によって思想が表現されるということには…

『吉本隆明詩集』、コレット・スィヤール『ベルギーの美術』

吉本隆明詩集 (現代詩文庫 第 1期8) 作者: 吉本隆明 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1968/04 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (4件) を見る 戦後思想界に独特の地歩を築いた吉本隆明。ごく初期の詩を見れば、風景を空間軸と時間軸で…

『山本太郎詩集』、『黒田喜夫詩集』

山本太郎詩集 (現代詩文庫 第) 作者: 山本太郎 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2002/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る やたらと長い詩を書く人で内容は即興的。歩きながら頭に浮かんだ想念をそのまま詩にした感じで、行分けした「意…

森哲弥『幻想思考理科室』、『谷川雁詩集』

森哲弥『幻想思考理科室』 「少年の自転車が風景の奥から現れた。内燃機関と作用機構の絶妙の調和がこちらへ向かって走ってくる。」(「力学有情」) 詩人の身の回りの風景はその「理科的」といっていい眼で眺められ、思考の中で仕組みや原理が確かめられる…

『多田智満子詩集』、多田智満子『川のほとりに』

多田智満子詩集 (現代詩文庫 第) 作者: 多田智満子 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2000/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 地中海の神話的なモチーフの中に自身の生を歌い込む。それは単純に古典古代への憧れでもあろうし、永劫回帰…

桃太郎

迎えにきた おまえを 切っ先を腹に埋めこんでいるさむらいを かつて桃太郎と呼ばれたおまえ 殿様の不興を買ったおまえ 梨の木の下で死を待つおまえ おお おれは鬼の屍 といっても はじめから鬼は屍であって 屍の生が鬼であるだけ 退治られても生きているのだ…

『田村隆一詩集』

田村隆一詩集 (現代詩文庫 第 1期1) 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1968/01 メディア: 単行本 クリック: 8回 この商品を含むブログ (22件) を見る 戦後詩の主人公と言っても過言ではない田村隆一。その出発点となった『四千の日と夜』はま…

『木坂涼詩集』、紀田順一郎『世界の書物』

木坂涼詩集 (現代詩文庫) 作者: 木坂涼 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1997/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る とてもミクロな視線と特異な言語感覚で日常を切り取る。対象にぐっと入り込むというよりはさっと輪郭を撫でていく軽さで、口当…

水切り

放り投げたものが渡っていく 橋が暗闇にかかっており おまえはそこんとこを疾走する 車の中の横顔を見たようだが 先ほどから雨脚は強くなり 強くなりしていく雨脚にまぎれて 見えない 遠く見えない石頭のうしろが 水切りのように渡っていくだけだ この世の縁…

『石垣りん詩集』、『岩田宏詩集』

石垣りん詩集 (現代詩文庫 第 1期46) 作者: 石垣りん 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1972/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 生活の中で酷薄なまでに研ぎ澄まされた「目」が、時に人間の営みの芯を貫く。その片鱗は第一詩集に見えて…

詩集『十夜録』完成しました。

春日線香詩集『十夜録』が完成しました。制作を「空想製本屋」さんに引き受けていただき、自分の本ながら美しく仕上がっております。ただ、私家版ですので最終的には25部程度しかご用意できません。もちろんお世話になった方や知人には順次お渡ししていきま…

大岡信編『現代詩の鑑賞101』、佐伯順子『泉鏡花』

現代詩の鑑賞101 (ハンドブック・シリーズ) 作者: 大岡信 出版社/メーカー: 新書館 発売日: 1998/02/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (3件) を見る 詩が読みたくなったので現代詩文庫でもと思い、そのカタログ的に本書を…

夜道にて

夜道を歩いているとひんやりした腹が出る ひんやりした腹 ぷるんと豆腐のよう またぎ越していけばいいのにそれができなくて 地団駄踏んでるわたしの胸の奥に おたまじゃくしがわらわら湧いてくる これをおもいきり吐き出さなくちゃ これをおもいきり吐き出さ…

『中井英夫詩集』、『世界の幻想文学・総解説』

中井英夫詩集 (1976年) (現代詩文庫〈66〉) 作者: 中井英夫 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 1976 メディア: ? この商品を含むブログを見る 戦前から戦後への作風の変化は、文語から口語へという違いもあるが、言葉の調子と内容ともにどんどん平明で素直な…