春日武彦『奇妙な情熱にかられて』、中沢新一『アースダイバー』

 

奇妙な情熱にかられて―ミニチュア・境界線・贋物・蒐集 (集英社新書)
 

再読。人が世界にリアリティを与えるやり方、生きている手応えを感じるための、だが他人からすればささやかで奇妙にも見えるそれを徒然に語る。「なぜか気になるもの」を追求すると硬直化した世界の皮膜がぺらりとめくれて実相が立ち上がってくるという、そんな例が集められていて、読む度に胸を打たれる。斜に構えているようでとてつもない切実さを持つ一冊だと思う。

 

アースダイバー

アースダイバー

 

 シャーマン的な想像力による東京をネタにした詩的作品。縄文期の地形図を現在に重ねて東京の町がどのような基盤の上に成り立っているのか説いていくのだけど、その方法はともかくとして、いろんな伝説や事実や幻想を注ぎ込んで語る下りは完全に俺妄想in東京という感じで、これ書くのすごい楽しかったんだろうな。なんでもかんでも「無意識」に辿り着くのに脱力しつつ、東京が精神と風土と歴史のアマルガムなのはよくわかる。なんだか漫画を読むように読まされてしまった。