2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

鬼あざみ

夜中に地震で目が覚めて 地震が起きるたびに いろんな神社の鳥居から 小石がぱらぱら落ちているのだろうな と窓を開け閉めして もう一度、すとんと夢の中に入る 夢の中では栗の木林にいて 毬栗がぽろぽろ落ちるのを見ている 見ていたらなんだか悲しくなって …

りんご

店先でいきなりりんご齧ってやろうか 店番は慌てるだろうな 噛んだら血を吹きそうな赤いりんご いきなり齧って お金も払わずに逃げてやろうか みんな唖然とするだろうな 舟に乗って逃げてやろうか 犬も殺してやろうか 花も

紫色の紙

紫色の紙が足りなくなってしまった 急いで買いに行かないと、もうすぐなのだからと 気ばかりがいたずらに焦って どうしたらいいかわからない 今までどこで買っていたかなんて覚えてないし 手配してくれる人にも覚えがない いつもいつもこうやって 足りなくな…

かなしい唄

化粧箱や封筒の 中には宝石があるものだと 女の子はそれくらい知っている 馬の形をした雲を追いかけて 知らない道を行くと その細道の先には橋が続いて 途中、別れの言葉を思い出して しゃくりあげて泣いてしまうことも 吹く風が頬に触れて あかるい午後が夜…

国立科学博物館

零式艦上戦闘機21型

奥宮正武『大艦巨砲主義の盛衰』、J・G・バラード『殺す』

大艦巨砲主義の盛衰 (新戦史シリーズ)作者: 奥宮正武出版社/メーカー: 朝日ソノラマ発売日: 1992/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 日清・日露での成功を受けて隆盛を誇った大艦巨砲主義は、戦闘が水上・水中・上空と立体化するに及んでその価値…

道しるべ

ふと箸を落としてしまい 屈みこむと、床に米粒が続いていて 点々と拾いながら進んでいく 客間へ、座敷へ、縁側へ いつしか古い蔵の脇を通り 門から出て、人通りの少ない裏道のほうへ 白く輝く米粒を追いかけ 一心不乱に進んでいく 空には月も星もなくて 笑い…

川口葉子『東京カフェ散歩』、別冊宝島『写真と地図でよくわかる 太平洋戦争はこうして始まりこうして終わった』

東京カフェ散歩 観光と日常 (祥伝社黄金文庫)作者: 川口葉子出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2012/12/12メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る 東京をひとつのフィールドと考えた時、カフェなどの飲食店は休息の場所、そこに行けば…

応地利明『絵地図の世界像』、ミロラド・パヴィチ『ハザール事典―夢の狩人たちの物語』

絵地図の世界像 (岩波新書)作者: 応地利明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1996/12/20メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 地図にはそれを用いた人々の世界観が刻印されており、各時代の地図を読み解くことは、人々の心性の変…

『ヘリック詩鈔』、『和泉式部日記』

ヘリック詩鈔 (1982年)作者: 森亮出版社/メーカー: 槐書房発売日: 1982/08メディア: ?この商品を含むブログを見る ロバート・ヘリックは17世紀王党派の詩人・聖職者。寡聞にして知らなかったが重要な詩人とのことで、読んでみたらこれが案外良い。田舎の知識…

かぶと虫になる

かぶと虫になったわたしが 瓷に頭をつっこんで蜜を吸っている 西日も射さない土間の隅で 瓷の縁に手をついて蜜を吸っている 本当はこんなこと許されていなくて 惨めでたまらないのだけど もうかぶと虫になってしまったのだから ほかに手立てはないのだ 誰か…

暗峠

奥は暗くておそろしければ… 和泉式部 ふいに戸を閉められて 暗い場所に置き去りにされてみれば 息をするのもままならぬほどで 手探りで進む手に 布がひらひらとまといつく 天井に着物でも吊るされているのか 探っても探っても壁はなく 道行きの果ては底知れ…

東京駅

8月-9月

人形劇

空の彼方に 雲がすばやく流れている時は 家のほうが動いているような気がする そう考えると足元がぐらついて ああでもないこうでもないと 心臓に暗い汁が溜まってきて 余計なことを考えないように 細い道の先だけ見ていればいいのに 水際に打ち捨てられた軽…