2013-09-27 かなしい唄 詩 化粧箱や封筒の 中には宝石があるものだと 女の子はそれくらい知っている 馬の形をした雲を追いかけて 知らない道を行くと その細道の先には橋が続いて 途中、別れの言葉を思い出して しゃくりあげて泣いてしまうことも 吹く風が頬に触れて あかるい午後が夜に向けて伸びていくことも 千匹の子鬼が髪にまぎれこんでいることも 足の下にある硬い地面が いにしえの気難しい生き物の背中で その上をよじ登っていく自分が 向こう岸に渡れないことも ぜんぶぜんぶ知っている わからないことがひとつもないように 強がっているだけなのも かなしい唄しか歌えないことも ぜんぶ