鹿島茂『パリ時間旅行』、横江文憲『ヨーロッパの写真史』

パリ時間旅行 (中公文庫)

パリ時間旅行 (中公文庫)

研究者がオタク心を丸出しにして書きましたという感じの楽しいエッセイ。なにせ自分でタイムマシンを発明して一九世紀パリに飛んだりもするのだから、その本気度も窺えようというもの。薀蓄に耳を傾けているうちに綾なすパリの幻に迷い込める。個人的にはパリの照明事情と、オスマンのパリ大改造に際して膨大な記録写真が撮られていた点、恥ずかしながら知らなかったので大いに興味をかき立てられた。マルヴィルの写真、見てみたいな。

ヨーロッパの写真史

ヨーロッパの写真史

写真発明からおよそ百年間ほど(マン・レイまで)の主要な出来事と人物を紹介している。教科書的と言っていいかな。門外漢には大層勉強になった。連続写真はおそらく映画の前身なのだろうし、絵画と写真の確執なども面白かった。あとルイス・キャロルによるアリスの写真! 現在定着している不思議の国のイメージとまったく違う。黒髪ショートでキュート。