渋澤龍彦『城 夢想と現実のモニュメント』、飯沢耕太郎『写真美術館へようこそ』

城 夢想と現実のモニュメント―渋澤龍彦コレクション   河出文庫

城 夢想と現実のモニュメント―渋澤龍彦コレクション   河出文庫

カステロフィリア(城砦愛好)を自認する氏による紀行エッセイ。信長の安土城に始まり、サド侯爵、鏡花『天守物語』、ヴェルヌ『カルパチアの城』などを、時に現地に足を運びながら闊達に語る。城とは専制君主の夢想のための場所、「閉じこもることによって力を凝集する」場所であり、あるいは牢獄や墓のイメージを秘めつつ、凝集された力は夢や死の世界にまで及ぶ。思えば澁澤龍彦自身もそのように内に夢想を育んだ人であった。

写真美術館へようこそ (講談社現代新書)

写真美術館へようこそ (講談社現代新書)

写真史に沿いつつテーマや技法の面からイメージの変遷を紹介する。時代を経るごとに徐々に表現の幅が広がっていくのが見渡せて面白い。軽く読めて入門書にぴったり。