お手玉

冬に放った雪玉は

楡の木立を弾んで通り

地蔵の額にこつんと当たる

なにかと思った地蔵は手を上げ

叩いた手には血を吸った蚊

閉めきった襖は光を遮り

格子はいつもかくかくと白い

赤いお手玉ぽんと投げて

闇夜の空に吸い込まれていく

わたしのお手玉

わたしの心

天竺まで届け

届け届け