小田久郎『戦後詩壇私史』、プルタルコス『エジプト神イシスとオシリスの伝説について』

戦後詩壇私史

戦後詩壇私史

思潮社を創業した小田久郎による戦後20年に渡る回想記。戦後詩壇の消長、詩人や雑誌の思い出が、時代を歩んだ当事者の手で綴られている。現在も有力な出版社であり続ける思潮社および関係各社の舞台裏がわかるとともに、戦後詩の変遷を大まかに知ることができて、戦後詩を読むにあたっての裏付けが得られたように思う。一時代の証言として貴重な一冊。

エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫)

エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫)

イシスとオシリスの伝説を記述した最古の文献とのこと。エジプトの神についてのものだがプルタルコスは一世紀から二世紀初頭のギリシアの人であり、エジプト神話とギリシア神話の混同が激しい。というかこじつけや間違いが多すぎてとても信用できたものではないのだけど、プラトン主義的な論理で絵解きされる神話は、当時の思潮を伝えて余りある。とりあえずは神話を知る一助に。