ルネ・デヴナン『伝説の国』、山口昌男『祝祭都市―象徴人類学的アプローチ』

伝説の国 (1974年) (文庫クセジュ)

伝説の国 (1974年) (文庫クセジュ)

アトランティスを嚆矢に史上様々に幻想されてきた伝説の国について、主にヨーロッパの視点で紹介する。神話に見る古代のギリシア・ラテン周辺、ヴァイキングや探検家によって開拓されてきたアイスランドグリーンランドと新大陸、黄金伝説、そして太平洋のイースター島。幻想とばかり片付けず見果てぬ何かを夢見る心理がいじらしくも楽しい。

「蜃気楼は、遠く離れれば離れるほどますますイリュージョンをかきたてる」

都市を記号的に読み解く対談・講演集。いささか寄せ集めのきらいがあるが、周縁理論、両義性、演劇性といった独特のタームで解き明かされる都市の姿は魅力的であった。都市の闇にはもうひとつの都市が見え隠れしている。「内なる声に耳を傾むけて、暗喩というメタ言語を使って、現実の都市の底に神話都市という想像力の世界を現出させるという姿勢」そのようにしてのみ闇は読み解かれる。