『菅原克己詩集』、『北川透詩集』
凝った言い回しを避けて語る詩人で、戦前から戦後の生活が平明な言葉で書かれている。平明さはすなわち等身大ということで、ことさらに大きなテーマを扱わずに日々の生が、その背後にある死が、昔日の思いが描き出される。優しい目線に素直に感じ入った。
虫の声をきいていると、
夜のもひとつ向うに
静かな世界があって、
そこにかれらが
なかよく暮しているようだ。
ぼくも、くらい夜を通って
あかるいところに行こう。
(「夜のもひとつ向うに」)
「ブラザー軒」は絶品でした。
率直に言ってよくわからない。行分けせず力いっぱいに書き殴ったような言葉たちは、ばらばらのイメージの渦を巻いて、一つに結ぶことはない。「眼」という単語が頻出するところから考えるに、この蟻集したイメージの無明に向かって視線を送る、そのがむしゃらな衝動がこの詩人の特質と言えるかもしれないが、ひとまず過度の単純化は避けておきたい。
あなたへの愛をこめて詩をいかなる国からも解放せよ ホタルの国 闇球の国 死の国
(「冬の幻想」)
この人に関しては本当にわからないし読み込む気も起こらない…。