種村季弘『アナクロニズム』、伊藤博『コーヒー博物誌』

 

アナクロニズム (河出文庫)

アナクロニズム (河出文庫)

 

世界が明らかになっていく過程で捨象された、膨大な仮説や蒙昧。著者が「アナクロニズム」と位置づけた珍説・俗説・迷信の数々は、たしかに現在からすれば奇妙なものに映る。だがそれらは現前するものの背後にひっそりと息づき、正論だけでは捉えきれない人の精神の一側面を示してもいよう。有名な「葦原将軍」についての詳細な記述あり。

 

コーヒー博物誌

コーヒー博物誌

 

 コーヒーに関する歴史・文化のほぼ全ての領域のトピックスを紹介している。石油に次ぐ国際商品ということで人間はコーヒーで駆動していると言っても過言ではないほど。ブラジル移民がコーヒー産業に従事したことなどは不勉強ゆえ知らなかった。日本国内のコーヒー事始めから喫茶店の隆盛、インスタントコーヒーの誕生まで興味は尽きない。