路地にて

塀のそばをとぼとぼ歩く

五月のゆくえはただ次の季節を目指し

露を散らしたばらを放つように咲かせている

人はいない 付き添いの影だけで

影と影が二人で歩いているのか

葉陰の路地になにかが焼けた匂いなど嗅ぎながら

片足ずつ夢の水脈をかきわけていると

ものうげな男の子がしゃぼん玉を吹いて

ふと昇っていく球体が

音立てて割れる

 

詩は人の命より長く続く

詩は化外の空に届くかもしれない

 

森の奥から帰ってくる人を

迎えるために

この路地を抜けてゆく