2014-05-12 路地にて 詩 塀のそばをとぼとぼ歩く 五月のゆくえはただ次の季節を目指し 露を散らしたばらを放つように咲かせている 人はいない 付き添いの影だけで 影と影が二人で歩いているのか 葉陰の路地になにかが焼けた匂いなど嗅ぎながら 片足ずつ夢の水脈をかきわけていると ものうげな男の子がしゃぼん玉を吹いて ふと昇っていく球体が 音立てて割れる 詩は人の命より長く続く 詩は化外の空に届くかもしれない 森の奥から帰ってくる人を 迎えるために この路地を抜けてゆく