2014-02-19 残されたもの 詩 不発弾を掘り出したというので見にきたが 大きな穴が埋められもせず空いているだけだった 校庭には名残の雪が汚れた骨のようで からっ風が髪を乱して吹き去っていく 花壇にはパンジー どれも顔みたいに見える 池の鯉は氷の下で口をぱくぱくさせている 下校の時刻を告げる鐘は消えやらず やがてあたりは夜の闇にまぎれて 念のためにもう一度覗きこんだ穴の底にひとつ 小さな白い卵が産み落とされていた