2014-01-18 人さらい 詩 鏡を覗くと知らない人が映っている 引きつった頬はまるで人さらいのようだ 人さらいの口から人さらいの牙がにゅうっと伸びてきて 葡萄の彫りのある鏡を突き破りそうになる あわてて毛布をかぶせて 奥の倉庫にしまっておくことにする 人さらいはこわい 人さらいは恐ろしいものだ そうつぶやきつぶやき 畑に出て 土をいじったり草を抜いたりしている 時々そこでは子供やおんなの骨が見つかるのだ 収穫をひかえたトマトやきゅうりは どんな悲鳴をあげようかとわくわくしている