橋爪紳也『ニッポンの塔』、五味弘文『お化け屋敷になぜ人は並ぶのか』

 

ニッポンの塔 ---タワーの都市建築史 (河出ブックス)

ニッポンの塔 ---タワーの都市建築史 (河出ブックス)

 

 機能とともに象徴性の強い建造物としてタワーや高層建築の姿を見ていく。庁舎や六本木のビル群には権威やステータスがよく示されているわけで、また、ランドマークにしても土地の記憶を吸い上げ、人々が物語を投影することになる。そもそもが虚空というフロンティアへの挑戦を原型に持つこれらの塔は、様々に変奏されてそこにある。個人的には巨大大仏のようなもの(自由の女神太陽の塔も)までフォローされているのが興味深かった。

 

 お化け屋敷プロデューサーによる舞台裏のメカニズム解説と、プロデュース業のポイントを紹介。旧来のお化け屋敷が「展示型」であったのを「劇場型」に転換し、客をお化け屋敷のストーリーに巻き込む方法を採っている。その上で、緊張と緩和を繰り返して非日常の空間を演出し、客の想像力に訴えて「楽しい恐怖」を作り上げるという。作りっぱなしではなく細やかな配慮が必要な、まるで劇空間のような演出。また、恐怖は自分ではコントロールできないものであるとして、あえて恐怖に自己を明け渡すことで解放感が生まれるという点なども面白い。