龍秀美『詩集 TAIWAN』、貞久秀紀『空気集め』

 

詩集 TAIWAN

詩集 TAIWAN

 

 自らのルーツである父母の歴史の中で分かたれた日本・台湾を題材にした詩集。分かたれた場所があの世でありこの世でありそのどちらでもない。東アジアの海流に交じる血のような。「バシー海峡から琉球弧へ/鳥が渡る青い海流を遡り/営々と架けられた光る骨片を着けて/明日は五月の街をさっそうと歩くよ」(「夢の胎」)第50回H氏賞受賞。

 

空気集め

空気集め

 

 日常を細やかな筆致で、独特の言葉のずらしを連ねて得も言われぬ感触を作り出す。強く印象に残るものではないが読んでいてなんとなく気分がいい。質感の詩だと思う。第48回H氏賞受賞。