『日本のお守り』、吉見俊哉『万博幻想』

 

日本のお守り-神さまとご利益がわかる

日本のお守り-神さまとご利益がわかる

 

 各地の郷土玩具や授与品を紹介する本。ビジュアル的に「かわいい」と感じられるようなものが集められており、写真を眺めるだけでも楽しい。こうしたアイテムをきっかけに神社や土地と縁を結ぶのもよさげ。早速近場から訪ねてみたい。

 

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)

 

 戦後日本の万博を辿り、その政治的な様相を論じる。対象は大阪万博、沖縄海洋博、つくば科学博、愛知万博の四つ。日本における万博とは莫大な公共事業投資と結びついた国家的な「動員」イベントであって、開発事業の隠れ蓑に過ぎない。あるいは大衆の欲望や夢を映し出しもしようが、その裏に働く力学はもっと政治的で生臭いものだ。本書では万博の性格が開発を指向するものから外れてきたことと、市民意識の高まりなどから今後の日本では万博のようなイベントを開催する旨味がなくなってきたとしている。めっぽう面白い本だがいささかげんなりした。