海野弘『万国博覧会の二十世紀』、『デイヴィッド・リンチ』

 

万国博覧会の二十世紀 (平凡社新書)

万国博覧会の二十世紀 (平凡社新書)

 

 1930年代までは植民地主義帝国主義)的な性格の色濃いイベントとして、やや無邪気にインダストリアルとデザインを追い求めていた万博は、戦争や恐慌を通過してスペクタクルな場に変貌していく。1937年のパリ博にゲルニカが出展されたという点だけでも胸焼けが。インダストリアルのイギリス、デザインのフランス、万博を利用して都市計画を進めたり情報戦の場にしたりと合理的なアメリカ、影の薄い日本と、各国の個性が興味深い。大阪万博以降はマルチメディアが台頭して万博の意義が薄れたという指摘も。

 

デイヴィッド・リンチ 改訂増補版 (映画作家が自身を語る)

デイヴィッド・リンチ 改訂増補版 (映画作家が自身を語る)

 

 生い立ちからマルホランド・ドライブまでをインタビュー形式で。芯の芯までアーティスト気質で感覚と運を重視しているのがわかる。「でも、結局のところ、核になっている感覚は、闇と混乱のうちにある人生だろうな。僕は確かにそこにいる。闇と混乱の中でさまよっているんだ。」当然ながらネタバレありなので一通り作品を観てからどうぞ。