『長谷川竜生詩集』、『生野幸吉詩集』

 

長谷川竜生詩集 (現代詩文庫 第 1期18)

長谷川竜生詩集 (現代詩文庫 第 1期18)

 

 この人は他の詩人と毛色が違うというか、叙情を排していることや書法の面でも他と隔たっている。陶酔から常に醒めること、詩人自身をも超えたモノの世界に恐怖を語らせる…。飛躍や意味の宙吊り、起承転結のなさは、詩の向こうにある語りえない闇を思わせる。こういう言葉を物象と化した筆致は当時のエポックではないだろうか。とはいえ一読しただけではまったく掴みきれない。いずれあらためて。

 

生野幸吉詩集 (現代詩文庫 第 1期23)

生野幸吉詩集 (現代詩文庫 第 1期23)

 

 「太陽! つきとほる高さから/そらのすっかりが ただ/ひといろに透過してくるとき/おほらかに澄みわたった空層にわれらはあひこたえる/精神としていきのこる」(「火山 3」) ヨーロッパと日本の近代詩風の書法を用いて風景と精神の交感を描く。宮沢賢治の影響大なのだろうけど、性愛を描いていたりして賢治よりもう少しヨーロッパの香りがする。美しいけどいまいち入り込めなかったな。