歓待

時の終わりの草はらに似てだだっ広い

岸にこぞうの形でかしこまっていると

食事をしていかないかと誘われる

ありがたく受けて こぞうが背を伸ばす

ここらでとれたこばんざめの

豪勢で彩り豊かな皿が届けられて

箸を腹に刺してやると

うううう うううう なんて呻いている

あふれ出た汁が崖下に広がって

垂らした舌先で味わえば

それがもうからくてからくて

目の端から涙の玉をこぼし

主人は嘘のようだといって

山のほうにも遊びに行きましょうと笑う

 

歓待はしめやかに過ぎる

 

それから花瓶を挟んで座り

井戸から汲み上げた

夜の血のように黒い飲み物を飲む

 

砂浜には祠や車が散乱している

なかなかいい景色ではないですか

ええ 本当にそう思います

ぼうぼうと燃える海亀の腹に入っていって

なにげなく首を巡らす そこに

骨格のでこぼこにしたがって隆起する

やまと絵のごときものが用意されており

王朝びとがそぞろ歩く庭が見渡せる

かそけき滅びの趣向に目を瞠りつつ

ただ 胸の奥がさめざめと痛んだ