サトゥルヌス

庭から上がってきたのはサトゥルヌスである

こんな雪の日に来るとは思っていなかったから

ろくに用意もしておらず

急いで台所からあんぱんを出してくる

あんぱんか という目で見られる

毛むくじゃらの手でためつすがめつしていたが

それでも何もないよりましだと納得したのか

大口でがぶりとかぶりつく

口の中に何列にもなった歯が覗く

あの歯で噛まれたら痛いだろうなと思う

外ではしんしんと雪が降り積もっている

今夜は魔物と二人きりで過ごすのだ