赤飯三題

むかし 納屋の整理をした折

古箪笥の引き出しを開けると

中が炊きたての赤飯でいっぱいだったことがある

春の川でとれた蟹の甲羅を剥ぐと

どの蟹にも赤飯がぎっしり詰まっていたこともある

それからこういう話もある

美人で知られたおんなが病気で死んで

湯灌の際に膨れ上がった腹を押したところ

ぶりぶりととめどなく赤飯をひり出した

美人は死にぐそまで常人と違うのかと

のちのちまでたいそう噂になった