もやしヶ原

眠りが足りなければ不思議なことが起きる

その言葉を証明するかのように

何日も眠れずに机に向かっていると

足裏の感触がどことなくおかしい

じゅうたんのあちこちからもやしが発芽して

生えに生えてとどまることを知らず

いちめんにふよふよと風に吹かれている

見渡すかぎりの白い草原に

萌え出づる穂は寄せては返し

そのはるか上空にはオーロラが輝き

とよく見れば あれは部屋にかかるカーテン

カーテンを開ければ窓

窓の外にはやはり生白いもやしヶ原が

どこまでもどこまでも

(病めるは昼の月)

地平線の彼方まで続いているのだった