フィオナ・マクラウド『ケルト民話集』、内田樹『映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想』
悲哀の色濃さはケルトの運命観によるものか、と思ったが、神秘主義思想に関連したケルト復興運動が背景にあるとのことで、少し差し引いて考えるべきなのかもしれない。とはいえ物語の美しさはたしかなもの。死人の罪を代わって背負う「罪を喰う人」は特に忘れがたい。
映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想 (文春文庫)
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/04/08
- メディア: 文庫
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映画の読解を通して現代思想を紹介する一冊。と言いつつ、やっぱりこれは映画評論かな。フロイト-ラカンの精神分析的な読みは手放しで賛成することはできないので、そこは留保付きで読み進めた(やはり「物語」として楽しむものだと思う)。なんにしろ、多様な解釈を許す作品は良作ということで。バルトの映画論、マクガフィンに関しては今後映画を観るにあたって役立ちそう。また、「アメリカン・ミソジニー」の章は内田樹の話芸が冴えてます。