大泉黒石『黄夫人の手』、ヴォルフガング・シヴェルブシュ『闇をひらく光―19世紀における照明の歴史』
明けましておめでとうございます。今年は詩集を出します。
大正時代の作家・大泉黒石の選集。こういう本はとても貴重なのだけど、内容は可もなく不可もなくといった感じ。味のある文体もだんだんと丸くなっていった。集中のベストは、ドイツロマン派から想を得たような趣の「青白き屍」。この作家、いくつかの作品で投げやりな省略を行っていて、それがなんとも不安な夢にも似た感触を生んでいる。
- 作者: ヴォルフガングシヴェルブシュ,小川さくえ
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1988/03
- メディア: 単行本
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電気以前の照明の技術の発展、および街路やサロンや舞台の照明の文化史。新技術の誕生からそれが産業化され、快適さとともに家庭内に一種の強制力を持ち込む(よって反発も生む)過程が興味深い。この点、現代でも事情は全く同じ。また、パリの治安維持のために用いられた街灯の社会的な分析を通して、照明の持つ政治性を明らかにする段、あるいは明かりの祝祭的な分析など、読みどころは多い。