ウォーカー『箱舟の航海日誌』、エドワード・レルフ『都市景観の20世紀』

 

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

 

 無垢な動物を満載するノアの箱舟に堕落した獣"スカブ"が紛れ込んでさあ大変、という趣旨なのだが、繰り広げられるのはなんとも呑気なドタバタ騒ぎ。さほど黒い展開にはならないので期待しすぎると肩透かしを食う。一応戦争の影なども読み取れるにしても、ちょっと不穏な匂いのする児童小説と考えればいいかな。挿絵の腰砕けっぷりがいいですね。

 

都市景観の20世紀 (ちくま学芸文庫)

都市景観の20世紀 (ちくま学芸文庫)

 

 無味乾燥な都市部、ロードサイドの画一化された風景、果ては聖地巡礼やマンションポエムにいたるまで、都市景観についての話題は事欠かない。本書は近現代建築史を辿り、景観の構成要素をクローズアップすることで、都市景観がどのように成立しているのか読み解く示唆を与えてくれる。これを読めば街の風景が一変すること請け合い。必読書レベルのスゴ本ではないかな。