ピエール・ド・マンディアルグ『みだらな扉』、エーリッヒ・フロム『夢の精神分析―忘れられた言語』

 

みだらな扉 (1972年)

みだらな扉 (1972年)

 

 「サビーヌ」「洞窟」「ポルノパパスの劇場」「ネズミッ子」を収録。まだマンディアルグを掴みきれていないのだけど、この作品集もなかなか曲者揃い。全体的に物語の面白さで読ませるのではなく雰囲気で引っ張っていくタイプで、ホテルの一室、場末の酒場や劇場といった悪所の空気を魅力的に伝えてくれる。本書の中では、酒場で女を漁って部屋で行為に及びながら幻想的なヴィジョンを得る「洞窟」が「またこれか」感がありつつやはり良い。いやほんとにこんなのばかりですね。

 

夢の精神分析―忘れられた言語 (現代社会科学叢書)

夢の精神分析―忘れられた言語 (現代社会科学叢書)

 

 フロイトユングの流れを汲んで、「なにかを象徴する」象徴言語としての夢の解読を論じる。読みにくいがわりと入門書的な内容で、フロイトユングの学説、夢解釈の歴史、解釈の実例、そして神話やおとぎ話の読解まで扱っている。ざっと目を通しただけなので理解が雑だが、夢解釈を含む象徴言語の読み方についてのものと考えたほうがよい。というか夢解釈っていくらでもこじつけができるし、話術とか芸に属するものだと思うから、なんとなく徒労感があるんだよな。