2013-07-13 巴旦杏 詩 女の子が一人で 木陰に立っていて それが朝からずっといるし ここらへんでは見ない子だから なんだか不思議だなあと思う 誰かを待っているのかな それともかくれんぼをしているうちに 家に帰れなくなった子が 生きることも死ぬこともできず 途方に暮れているのかな ちょっと気になって 声をかけてみようと近寄っていったら 女の子ははっとした表情で こちらを見て 特に言葉を交わすわけでもなく わたしも金縛りになったようで なにを言うでもない 二人とも黙ったままで季節はめぐり 木には赤い実がたわわに実り 下から見上げると 無数の提灯が下がっているようで 女の子の小さな頬も うっすらと赤かった