2013-07-12 蟻地獄 詩 あなたのおうちの ありじごくを見せてください お手間は取らせませんから 男はそう言って庭に回り しばらくあちらこちらと 何ほどか検討をつけていたが おもむろにしゃがみ込み ほうらこんなところにありますよ なんて嬉しげに言うものだから わたしはなんだか怖くなって えいとばかりに肩を押すと なんの抵抗もなしにすうっと 男は頭から落ちていき いつまでもいつまでも落ち続け 奈落の底から時々 手紙を送ってきたりする それがこの紙束です