2013-07-05 店番 詩 夜のうちに降った雨は 屋根を洗い、軒を濡らして海へ抜けた わたしは誰もいない店で 時折、聞こえてくる犬の声を聞きながら 小僧のように座っている なにもすることがないとは お客が来ないとは 本当にかなしいものである 近所で祭りでもあれば 少しは店も繁盛するだろうに みんなどこへ行ってしまったのだろう 裁縫箱は軋んでおり 新聞の活字はぎっしりと詰まっている それでも、留守を頼まれたのだからと 果てしなく暮れる梅雨の晴れ間に 肩肘をついて待っている ぽーん、ぽーん、ぽーんと 柱時計は人が死ぬのを数えている もう誰も帰ってこないのかもしれない 庭のあじさいが 枯れて剥がれ落ちていくだけで