初見健一『ぼくらの昭和オカルト大百科』、国吉和子『夢の衣裳・記憶の壺』

ぼくらの昭和オカルト大百科 (大空ポケット文庫)

ぼくらの昭和オカルト大百科 (大空ポケット文庫)

オカルトがメディアを通じて隆盛した70年代(特に73年)を中心に、終末予言・UMA・超能力・UFO・心霊などの各トピックを紹介する。著者の経験を交えた軽妙な語り口で読みやすく、それぞれのトピックの概説や寸評がためになる。個人的にはUFO発見からコンタクティーの登場と、心霊番組の盛り上がりと霊能力者の登場が、奇妙にダブって見えた。どちらともオーソリティの登場で原初的な魅力が薄れていく。それと口裂け女の登場に学習塾の普及と花粉症の流行が関わっているとするのも、都市伝説の舞台裏が垣間見えて興味深かった。

夢の衣裳・記憶の壺―舞踊とモダニズム

夢の衣裳・記憶の壺―舞踊とモダニズム

バレエ・リュスなど二十世紀初頭の舞踊からポスト・モダンダンスが登場するまでの歴史を、国内外のモダニズムの流れをたどることで描き出す。この分野の本は初めて読んだので固有名の多さに戸惑いながらも、近代舞踊の主要なトピックは大まかに知ることができた。時代ごとの身体観がダイナミックに表れる舞踊は、順を追って見ていけばなるほど人間観そのものの変容の歴史といえる。豊富に使われた図版の美しさが目を引いた。