入院譚

待合室には薄暗い死角があり
その奥から話し声が聞こえてきた
飲酒だとか喫煙だとかで
入院中に規則を守らなかった男が
強制的に退院させられて
形の上では患者の治療拒否とのことで
紹介状を持たされて転院する由

厄介払いだな

かばんを掛けて墓地に入っていく
近道に通り抜けようとして奥を目指すと
ぐるぐる同じところを廻るばかりで
出口がない
仕方なく入り口から出た
べつに紹介状は持たされなかったが

真っ黒な雲が頭の上にある
夕立を避けて店に入り
餃子を食べて
口を臭くする