2013-08-21 夜中の生き物 詩 ひじきを煮付けていて 鍋の中はまっくらやみの夜 手を差し入れればぐいとつかむものがあり イヤダイヤダと言っているうちに 連れて行かれた海の底で おまえはうみうしになる 立派なうみうしになれてよかったと 家族は喜んでいるけれど わたしはごまかされない きっと金持ちの慰みものにされ 死ぬまでひじきを食わされることになるのだ 腹一杯につめこまれ 泣いても喚いても食わされて 体の内側からまっくらやみにされてしまう そのようにしてじわりじわりと 黒いあぶくを吐くだけの存在になる 風呂釜の底でわずかに身じろぎする どこの誰の生にも余計な 夜中の生き物になるだろう