2013-08-07 別府湾 詩 小学校の桜にいつか辿り着く 吉田右門 学校前の坂を上っていくと コンクリートで固められた左手の斜面に ぴたりとはめ込まれた形の地蔵がいて 土の猛威を抑えているのか 背中を見送られる心持ちで ずいぶんとほっとした 昼の空は硬質の雲を隠し持ち いつでも流していけるんだぞと 大きな目玉を揺らしてうそぶく 町をつらぬく線路が 鉄橋を過ぎるときに トタントタンと立てる音も 秘められた合図のようだ それは誰に知られることもないが いつも耳の奥で鳴り続ける 花には花の 水には雨の言葉が混じっていて フェリーの行き交う藍色の水たまりが 山を映して黙っている様は かつて蓮の花にも喩えられたのだ