繋がれた犬

スーパーの駐車場に

小さな犬が繋がれていた

妙におどおどした態度で

あたりを見回している

近寄って撫でようとしても

触れようとする手を避けて

絶対に撫でさせないのだ

 

きっと飼い主は

買い物に勤しんでいるのだろう

野菜、肉に魚

玉子、豆腐、菓子パン

ポテトチップス

ケーキ、ワイン

etc

 

犬は雨に濡れている

それから梅雨は明けて

夏の日差しが照らすだろう

ひまわりは急速に伸びて

犬は吠えるかもしれない

でももしかすると

秋までもたないかもしれない

 

冬になって

繋がれたままの犬は

ごみのようになっているだろう

駐車場の隅でそれは

空き缶や落ち葉と一緒だろう

 

そっと毛布をかけるように

雪がしずしずと降り積もっていくだろう