つげ義春『ねじ式』、ポー詩集

つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む (ちくま文庫)

つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む (ちくま文庫)

夢を描いた作品と、漫画家の若夫婦を主人公にした作品、それぞれ数篇を収める。夢もののほうには有名な「ねじ式」「ゲンセンカン主人」の他にも切迫感と不安感を伝える作品が多くて、心がざわつきながらも不思議と安らぎを覚える。自分でも子供っぽい趣味だとは思うがやっぱりこういう幽玄な雰囲気の作品が好きだ。後半の夫婦ものもいいんだけど、こっちは変に身につまされるというか、なんとなく心情がわかるので侘びしい気持ちになる…。また人生経験を積んだら違うのかも。

ポー詩集 (新潮文庫)

ポー詩集 (新潮文庫)

ポーが愛する妻を失ってそのことを詩に読み込んだというのは有名な話だが、不幸によって詩想を得たというより、元々冥府を夢見るような気質の上に不幸が降りかかったというべきだろうか。妻を失った悲しみが刻印されている「アナベル・リイ」はもちろん良いし、最晩年の絶唱である「夢の夢」などもまた良い。できれば原文を参照したい。