画集など
シュヴァンクマイエルの博物館―触覚芸術・オブジェ・コラージュ集
- 作者: ヤンシュヴァンクマイエル,Jan 〓@7AAD@Svankmajer,Petr Hol´y,くまがいマキ,ペトルホリー
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2001/05
- メディア: 単行本
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映像以外のシュヴァンクマイエルの仕事を紹介している。といってもむしろ映像のほうがサブであって、その他の活動がメインではないかと思わせるほどに濃い。インスピレーションと手仕事の感触を重視するところまでは正道の芸術家らしいのだけど、その度が過ぎて錬金術や触覚芸術にまで及んでいるあたりスケールが違う。アニメーションに関しても、手仕事によって物体に生命を与えるというところが大きいのだろう。チェコのゴーレム伝説を想起する。
まさに地獄絵図だが実際は「六道絵」であって、地獄以外の絵が多い。大雑把にどういうモチーフが取り上げられているのかをクローズアップしてあって見やすい。欲を言えば罪業観を時代と引きつけて論じてほしかったし、その意味ではこの絵が描かれた背景や典拠に関する詳細がないのはマイナス。そのあたりについては他に本があるのだろう。
大津絵とは江戸時代の民画のひとつで、基本的には無銘の大量生産品。大量生産といっても人の手によるものなので形態と色の単純化が著しく、たとえば人物の輪郭などはへのへのもへじの「し」のように筆を軽く走らせた感じで、全体的にも筆触が生かされてデザイン画的な趣がある。当初は仏画として始まり、東海道を通じて全国に広まったという。これは大層素晴らしかった。そのうち日本民藝館にも行ってこようと思う。
京極夏彦の序文によれば、伝土佐光信の『百鬼夜行絵巻』がまずあり、鳥山石燕が妖怪を体系化、河鍋暁斎に受け継がれたとのこと。本書には『暁斎百鬼画談』以外の妖怪画も収められている。暁斎の絵はがちゃがちゃしてて苦手なのだがこれだけ異形のものを集められるとやはり圧倒される。漫画的な味わいの絵もいいが「地獄太夫」の妖艶さにはやられた。
「地獄太夫」は不幸にも苦界に身を沈め、仏を求めながら自ら地獄と名乗った遊女。
通常「地獄太夫」絵画では、着物には地獄風景が描かれるが、暁斎はそれにかわって七福神を描き、さらに地獄の猛火と地獄釜のかわりに赤珊瑚と宝箱を描きこんでいる。