増田彰久『棟梁たちの西洋館』、嶋中労『コーヒーに憑かれた男たち』

 

棟梁たちの西洋館―文明開化の夢とかたち

棟梁たちの西洋館―文明開化の夢とかたち

 

 文明開化に際してまず形から西洋を導入しようということで大工の棟梁が腕を振るったところ、見様見真似ですごいものが出来上がった。擬洋風とか開化式と呼ばれるこれらの建築は、明治の中央集権化にともなって役所・病院・学校を中心に試みられ、本格的な様式建築の導入へと続く。いわば過渡期の建築で、大工の腕で無理やりに西洋を再現しているので独特の魅力がある。どころか、自負さえ感じられて清々しいほどだ。写真でも伝わってくるこの異様さはぜひ現地で体験してみたい。

 

コーヒーに憑かれた男たち

コーヒーに憑かれた男たち

 

 コーヒー屋の御三家と呼ばれる銀座「カフェ・ド・ランブル」、南千住「カフェ・バッハ」、吉祥寺「もか」それぞれの店主にスポットをあてた一冊。コーヒーに捧げられた人生に圧倒されつつ周辺の知識もためになる。が、著者の考え方や文章が鼻について十分に楽しめず。バッハにはそのうち足を運んでみます。