藤森照信『看板建築』、『建築デザインの解剖図鑑』

 

看板建築

看板建築

 

 看板建築とは、関東大震災後に建てられた平坦なファサードを特徴に持つ商店建築のこと。それまで軒が張り出した出桁造や蔵造が主だったが、震災後の区画整理で道路の拡張がなされ、狭い土地に収まる造りになった。また、三階建てが法律で禁止されたのでマンサード屋根を採用して屋根裏を作り、耐火性を高めるために銅板で被覆することも。東京中心部の大商店は鉄筋コンクリートに移行できたものの、周辺部の小商店はバラックからこの様式に落ち着いた(震災の影響で分布は関東中心)。間取りなどは伝統的で、デザインにおいて洋風を取り入れている。

 

建築デザインの解剖図鑑

建築デザインの解剖図鑑

 

 地形や歴史によって形作られる全体から家屋のごく細部に至るまで、街歩きに役立つキーワードが拾える。各キーワードはそれぞれ実物や専門書にあたればさらに深く知ることができるだろう。認識するための視点を得るには良い本。