画集など
サイクリングがテーマのペン画集。大気や山並みにまで丁寧にタッチが付けられており臨場感満点。「彼の描法は、計算された何本もの微妙にカーブする(完全な直線はほとんどない)平行線で構成され、またそれぞれが鮮明であり、ウォッシュやクロス・ハッチング(線の交差)の技法は、どうしても効果が欲しいとき以外は用いなかった。」この画集自体も詳細やキャプションを省いた潔い造りだ。のびのびと楽しめる。
解説では「意味内容なき寓喩」とか言ってるけど、結局は特異な画家の特異なヴィジョンをそのまま受け取るべきということだろう。人体を変形させたようなモチーフのものはしつこいし気持ち悪いが、超現実的な風景を描いたものは引き伸ばして飾りたいほど。番号で言うと10番なんか好きだな。
ホッパー NBS-J (タッシェン・ニューベーシックアートシリーズ)
- 作者: ロルフ・ギュンター・レンナー,三森ゆりか
- 出版社/メーカー: タッシェン・ジャパン
- 発売日: 2001/11/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アメリカの精神を象徴する記号空間を展開し、さらに象徴からファンタジーの世界へと足を踏み入れる。この本は論考部分がかなり邪魔なので、いずれ別の作品集を手元に置きたい。
- 作者: ルイジ・フィカッチ
- 出版社/メーカー: タッシェン・ジャパン
- 発売日: 2007/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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極端に変形した人体表現によって人間の内的な真実を描く画家。個人的には檻のイメージや簡素な透視図が人体の周囲に置かれているのが気になっていたのだけど、これはメインの人体をより見せるための添え物であって、特に深い意味はないらしい。たしかにこれがなければ抽象に傾きすぎてしまうかもしれない。また、内部を表現するために表層にこだわる一面も知ることができた。「ベーコンが写真に関して最も評価している点は「表層の流動性」、すなわち「事物の表層下に迫ること」ができないことである。」
発火請合、安全燐寸。東洋と西洋の融合を思わせるマッチラベルのデザインは、輸出に際して現地の要望を汲んだことで生まれたらしい。また、模造品への対抗措置として新しいデザインを逐次採用し、多種多様なラベルが市場に出回ったという。
夭折したから全体を俯瞰しやすい。その短い生涯の中でも貪欲に画風を模索している。よく言われるようなエロティックな画というよりはデザイン的で綺麗という印象で、この時代の禁忌を表現するために手法的にもオリエンタリズムが利用されているのがわかる。
全生庵蔵・三遊亭円朝コレクション 幽霊画集
類書があるがこれは全生庵が出している図録。不勉強で知らなかったのだけど、幽霊画を確立したとされる円山応挙の画は、実はその存在がものすごく怪しい。全生庵のものも応挙作と伝わっているだけで真筆かどうかはわからないらしい。そんな存在自体が幽霊じみた画を含めて50幅ほどが全生庵に収蔵されている。展示室では40幅あまりの幽霊画に囲まれ、冷房とは一味違う寒気を味わった。